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PENTAX Q 体験イベントレポート

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント その1(作りたいカメラ。それは「ナノ一眼」)

PENTAX(ペンタックス)さんより先日発表されたナノ一眼「PENTAX Q」の体験イベントに参加してきましたよ。
PENTAXさんのレンズ交換式ミラーレスは以前から噂されていたんですが、今回発表されたカメラはレンズ交換式デジタルカメラとしては世界最小、最軽量のデジタル一眼でした。そんな「PENTAX Q」なんですが、今回はラッキーにも発売前に体験する機会に恵まれました。しかも開発者さんに直接お話しを伺えましたよ。

このレビューは「みんぽす」の無償イベントに参加して書かれています。(詳細は末尾で)

それでは、レポート開始です。

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オリジナルを表示 PENTAX Q beta model(F7.1 1/500 ISO100 28mm)

会場は永田町にある「ともだちビル」…違う「フラスコの中の小人ビル」…もとい、ペンタックス東京オフィスです。僕は 昨年のK-5のイベントでここを訪れた事がありますので、今回で2回目となります。しかし休日の永田町は人がいなくて静かでいいですね(平日はしりません)。でも、その変わり前回同様に警察官の方がいたる所にいて、今回もビルに入る前に職質されました(汗
ちなみにこの写真。実は今回のイベントにてPENTAX Qで撮影したモノです。
尚、ベータ機による撮影で画像はリサイズされています。
前回はNEX-5を買ったばかりで、右も左もわからない一眼初心者だったわけなんですが、K-5イベント、 SIGMAイベントを乗り越え、 DP2xも買い(それ一眼じゃねーし)カメラに対する考えも変わってきたので、今回は違いますよ…多少ね(笑) 
まーなんにせよ今回は緊張よりも楽しみの方が大きい状態でイベントに参加できました。
それでは、まずは、今回、ご説明くださったペンタックスの方を紹介します。

お話ししてくてたペンタックスの方

若代さん
デジタル一眼レフカメラ商品企画担当の方です。
K-5の開発秘話イベントの時もお話くださった方です。
今回もQの開発秘話をお話しいただきました。

と言うわけで、まずは「ナノ一眼」をどうして開発されたのかをお話になります。
これにはフィルム一眼のAuto110が深く関わっていたんですね。

それは、32年前…

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:それは、32年前…

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ペンタックスさんは1969年にサイズの大きな一眼レフを出しています。その後1979年にKシリーズとしては最小最軽量の一眼レフを発表。1979年に110(ワンテン)フィルムを使った超小型一眼レフカメラAuto110(オートワンテン)を作りました。その後1983年には改良版も発表し、当時かなり売れたカメラだったそうです。ただし、その後35mmフィルムが主流になっていき110フィルム、そしてそのフィルム使うカメラであるAuto110も衰退していったそうです。
ちなみに110フィルムとは13×17mm判の小型のフィルムです。
詳しくはこちら→ 写真フィルム:wikipedia

そして、10年前…

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:そして、10年前…

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そしてまだ若代さんも商品企画に入っていない2000年頃、開発者がプロジェクトチーム「Auto110 DIGITALを考える会」を発足し企画推進を図ったそうです。
まだ、まともなデジタルカメラ用画像処理エンジンがないような状況で、何とかAuto110でデジタル写真が撮れる試作機を用意し、上層部に提案を行ったそうです。
ただ、 PENTAX最初の一眼レフカメラ(*ist D)も発売していない状況だった為、優先すべきモノは他にあると却下され、この開発者さんの夢は一旦破れたそうです(泣


てか、こんな頃からAuto110のデジタル版は始まってたのか!驚きです!
K-5のイベントではじめてAuto110を見せてもらった時に、デジタル版が欲しいと思いましたが、ペンタックスさんの中でも10年も前から作ろうと考えていたんですね。
そして、そのAuto110でデジタル写真が撮れる試作機を見せてもらいました。


Auto110デジタル(試作機)

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:Auto110デジタル(試作機)

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なんだかスゴイものが出てきましたよ!(笑
この小さなカメラがAuto110なんですが、その後ろに大きな基盤らしきもが…
デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:Auto110デジタル(試作機)

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裏からみると、カメラの中に小さな基盤が入っていて、そこから大きな基盤に繋がっています。
デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:Auto110デジタル(試作機)

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この小さな基盤がセンサーだったんですね。で、後ろの大きな基盤で画像処理をしてたそうです。ちなみに基盤をUSB端子でパソコンに繋げ、パソコン上で写っている映像を見る方式だそうです。かなり無理矢理だったらしいです(笑
デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:Auto110デジタル(試作機)

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これは、当時発売していたAuto110のパッケージです。交換レンズやフィルター、フラッシュなど全てがセットで売られていたんですね。これなら手軽に楽しめそうですね。

提案・却下・頓挫

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:提案・却下・頓挫

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その後に何度もAuto110デジタルの商品化にトライをしたそうです。若代さんが商品企画に入ったのは2003年の暮れだったそうなんですが、2004年にAuto110の存在を知り、直ぐにデジタル版を作りたいと思ったそうです。僕もそうでしたが、Auto110見たらあれのデジタル版は欲しいと思いますよね。
過去の売り上げや衰退の原因など調査している内に、先程の試作機や「Auto110 DIGITALを考える会」の存在を知り、何とか実現したいと若代さんは考えました。
そしてAuto110デジタル版の商品化に絶対に必要になると思われるキーパーソンを説得したそうなんですが却下され、別の方が2005年にも企画提案したが結局実現しなかったそうです。
そしてついに2006年にキーパーソンの説得に成功し、とりあえず検討チームを発足まで漕ぎ着けたそうです。そのチームでファインダー、センサーサイズ、AF、絞りやマウントなどを議論し、良い雰囲気で進んでいたそうなんですが、若代さんが商品企画を一時外れる事になり、引き継ぎもされずにそのまま頓挫…

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:PENTAX 645D

PENTAX 645D

さらに2008年に645D開発凍結発表され会社がKマウント注力する方針となり、Auto110デジタルをやっている状況では無くなってしまったそうです。
※その後645Dは2010年には無事発売されました

そんな中マイクロフォーサーズの規格が発表されてしまい、若代さんは「これまでか…」と思ったそうです。マイクロフォーサーズはミラーレスによる小型化を売りにしていますからね。先を越されたって感じだったのでしょうね。
なんか、話を聞いてると、PENTAX Qが発売されたのが奇跡に思えてきます。

状況の変化、トップの後押し

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:状況の変化、トップの後押し

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ですが、その後状況が変わります。 まずは、カメラ付き携帯電話などが普及して、多くの方が写真を撮るようになり、写真人口が増加する事で、一眼の購入層が非常に広がり、多様化したそうです。

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:PENTAX K-r

PENTAX K-r

従来一眼レフを買う人は3/4位がフィルム一眼レフを使った人だったそうなんですが、K-x(現機種はK-r)などで、カラーバリエーションを豊富にするなどの一眼レフのカジュアル戦略が成功し、新しいユーザー層の取り込みに成功したそうです。

さらに技術の発展が大きかったそうです。
110フィルムとは違い、半導体技術が進歩は続くのでセンサーサイズは小さくても衰退する事はないだろうという考えていたそうです。そして実際にイメージセンサーの画素数が上がり高感度にも強くなっていきました。さらに画像処理エンジンも複雑なノイズ処理ができるようになり、従来ならもの凄く時間が掛かるような処理も、現在の画像処理エンジンなら簡単に行えるようになります。

最後に、他社の状況です。先ほど「これまでか…」と思っていたマイクロフォーサーズなどのミラーレスカメラは、小型と言われていわれていますが、改めて110と比較してみるとるがまだまだ大きいと思ったそうです。
そりゃそうです。K-5イベントの時点で世界最小のNEX-5ユーザーの僕が、衝撃を受けるほどAuto110は小さかったですからね。

そして事業部長からの、超小型一眼の検討の指示があり、ついにAuto110デジタルの再検討が始まりました。良かったですね~。


みんなで一緒に考えたい…

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:みんなで一緒に考えたい…

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そして始まったAuto110デジタルに再検討ですが、Auto110デジタルをやりたいと言っていた方が多かったそうで、若代さんが全てを決めるのではなく、どんなカメラにするかみんなで一緒に考える事にしました。でも、実際ブレストをやってみると…見事に考えがバラバラ(笑

この中で面白かったのは、何に使うかは置いといて巻き上げレバーを付けたい!って意見ですね(笑 まー気持ちは分かります。あのメカニカルな感じ良いですよね。イベントに参加したみなさんも賛同してましたよ(笑

ただ全く意見がまとまらず、ここで、みんなのニーズ(みんなの作りたいモノ)を全て満たすのは不可能だと判断し、原点に返ったそうです。

誰に買って欲しいのか?

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:誰に買って欲しいのか?

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その原点とはAuto110デジタルを「誰に買って欲しいのか?」という事でした。 ペンタックスさんとしては、現状のミラーレスはまだまだ大きいし、もっと小型化した、まったく新しい一眼を作りたいという思いがありました。

そこで、この一眼を買ってくれそうな方はどんな方か考えたところ…
・小さいカメラをサブ用途で使いたい既に一眼を持っているユーザー
・高性能・多機能なハイエンドコンパクトが欲しいと思っているユーザー
・コンデジは持っており、次は一眼を買いたいと思っているユーザー(社内的にはデジイチドリーマーと呼んでいたそうですw)

実はコンデジを買った方の1/3の方は一眼の購入を検討していたそうです。でも、大きい、重いが大きな壁となって、結局コンデジを買っている方がほとんどでした。
実際僕もその一人で、NEX-5が出るまでは、一眼に興味はあっても、あの仰々しさがイヤで買いませんでした。ただ今はちょっと違いますけどね。

そこで、もっと小さくして、全く新しい一眼を作くれば、デジイチドリーマーとマッチするんじゃないか?とメインのターゲットを定めたそうです。
もちろん他の方にも買っていただけるように考えてはいるが、あくまでメインはデジイチドリーマーとい形でPENTAX Qは開発したそうです。

一眼の魅力

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:一眼の魅力

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これはペンタックスさんが、実際に調査した結果なんですが、薄紫が全体数、オレンジがデジイチドリーマー(一眼購入意向者)です。

とうぜん一眼の魅力は画質が優れていることなんですが、それ以外にもレンズが交換できること、撮影設定を自由に変更できること、個性的な写真が撮れること、奥が深く使いこなす喜びがあるなどが高かったのです。単純に「一眼が欲しい=画質が優れている」ではなくレンズ交換など、色々なことができる奥深さがデジイチドリーマーの一眼に対する魅力だと言うことが分かったそうです。

レンズ交換のイメージ?

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:レンズ交換のイメージ?

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ペンタックスさんは一眼の魅力の結果で高かった「レンズが交換できる」をポイントとしました。
そこで次は、「レンズ交換の魅力」ではなく「レンズ交換のイメージ」として、マイナス面も含めた調査を行いました。

良い面では、色々な雰囲気の写真が撮れそう、より自分が撮りたい写真を撮れそう、カスタマイズすることで自分だけの楽しみ方が見つけられそう、などが高かったのですが、マイナス面である、お金がかかりそう・高価、持ち運ぶには重そうの二つが高く出ていてたので、そこをポイントに作るべきカメラを考えたそうです。

作りたいカメラ。それは「ナノ一眼」

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:作りたいカメラ。それは「ナノ一眼」

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そのペンタックスさんが考えた作りたいカメラは、まずは圧倒的に小型軽量な一眼。レンズ交換できるのにも関わらずビックリするほど小い。ボディだけでは無く、レンズも小型軽量にして魅力となるレンズ交換を手軽にできるようにと考えました。

画質は非常に重要なので小さいからと言って、それなりの写りでは無く、小さいけれども良く写るカメラにしたかったそうです。さらにボディ内手ブレ補正。どんなレンズを付けても手ブレ補正が効く。特にコンデジユーザーで不満の高い、暗い場所での高感度性能も妥協が無い形で仕上げたかったそうです。

あとは、個性的な写真。一眼の魅力は個性的な写真が撮れる点にもあるので、エフェクト機能の充実としてK-5、K-rで使用している機能をもっと進化させたいと考えました。さらに一眼の操作性も盛り込んで、自由に撮影設定を変更できるようにしたかったそうです。
やっと作るべきカメラ、「ナノ一眼」の形が見えたわけですね。
ここまでくるので10年。最初にAuto110デジタルを推進した開発者さんの思いが遂げられたわけですね。しかもフィルムのAuto110からは30年の歳月が流れていますからね。壮大な話ですよね。

で、今回はここまでです。
すいません。PENATX Qは影も形も見せていませんね(汗

次回は、いよいよ開発が始まったPENATX Qのお話になります。
みなさん大好きな(?)スケルトンモデルのPENATX Qも登場しますよ(笑)
→その2(超小型ボディに一眼性能を秘めたPENTAX Q誕生)に続きます。
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このレビューはWillVii株式会社が運営する レビューサイト「みんぽす」から招待されたイベントに参加して書かれています。 本イベントへの参加及びレビュー掲載は無報酬です。また、WillViiは掲載内容に一切関与していません(本情報開示と事実誤認時の修正を除く)。本イベントに参加された他の方のレビューはこちらのみんぽすTBセンターでご覧になれます。(WillVii株式会社みんぽす運営事務局)

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