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PENTAX Q 体験イベントレポート

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント その2(超小型ボディに一眼性能を秘めたPENTAX Q誕生)

PENTAX(ペンタックス)さんより先日発表されたナノ一眼「PENTAX Q」の体験イベントに参加してきました。レンズ交換式デジタルカメラとしては世界最小、最軽量のデジタル一眼です。

前回は、フィルムカメラのAuto110からPENTAX Qの開発が始まるまでのお話しでしたが、今回はいよいよ開発が始まったPENTAX Qの開発秘話です。開発が始まるまでも紆余曲折ありましたが、始まった後も色々と大変だったようですね。それ以外にも貴重なモックやマグネシウムボディ、スケルトンモデル等も見せていただきました。

このレビューは「みんぽす」の無償イベントに参加して書かれています。(詳細は末尾で)
やっと作るべきカメラ、「ナノ一眼」の形が見えたわけなんですが、それを実現するには、検討すべき課題がありました。 それはセンサーサイズ、液晶モニター、外装素材、クイックダイヤル、交換レンズです。

センサーサイズ

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:センサーサイズ

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まずはセンサーサイズですが、開発者全員が「センサーを小さくしてもレンズが良ければ画質は変わる」、「レンズの解像性能を高めれば写真は良くなる」と考えていました。さらにPENTAX Qではボディだけでなくレンズも小さくする為、センサーを小さくしてマウント径を小さくする事が必要でした。

ちなみフォーサーズセンサーを採用したらどうか?とう話もあったそうです。110フィルムがフォーサーズセンサーとほぼ同じサイズでこの話が持ち上がったそうなんですが、フォーサーズセンサーで十分な解像性能を得るようとすると、レンズを大きくする必用があった為、フォーサーズは取り止めとなったそうです。

こういった経緯があり、小型センサーである1/2.3型と1/1.7型に絞り込むのは早かったとの事です。しかし、その後1/2.3型派と1/1.7型派で真っ向から対立してしいます。 ちなみに若代さんは1/1.7型派だったそうで、会議では1対5の不利な状態での戦いを強いられたそうですよ(笑)

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:センサーサイズ

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一般的には大きいセンサーの方が画質は良いと言われており。ボケに関してもセンサーが大きい方がボケると言われています。
ちなみに僕も同じでレンズも関係するとは思いますが、大きなセンサー程ボケ味は良いと認識しています。しょういちさんに借りたフルサイズの5DmkIIは素晴らしいボケ味でしたしね。
しかし、ボケに関してはこの2つのセンサーで撮った写真を比べても、差がないと言うのが開発側の見解だったそうです。

1/1.7型派の若代さんが納得せざる得なかったのが、1/2.3型(裏面照射型CMOS)と1/1.7(CCD)を比較したところ、ノイズ特性が1/2.3型(裏面照射型CMOS)の方が良かった事でした。そしてPENTAX Qは1/2.3型(裏面照射型CMOS)を採用する事になります。


長く使い続けて頂けるマウントにしたい!

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:長く使い続けて頂けるマウントにしたい!

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これは現在は1/2.3型が主流ですが、昔は1/2.5型が主流だったというグラフです。
2007年以降、画素数がどんどん増えて行きセンサーサイズを1/2.5型から1/2.3型に大きくせざる得ないとセンサーメーカーから要望があったそうです。ペンタックさんではそれに合わせて1/2.3型センサーに対応したレンズを開発していったそうです。

今現在の主流は1/2.3型ですが、将来さらに同じようにセンサーを大きくする必要が出て、状況が変わる可能性はあります。それを考え、1/2.3型ギリギリのイメージサークルで作るのでは無く、余裕を持たせた上でレンズを開発し、Qマウントを少しでも長く使い続けられるようにしたいと考えたそうです。それには開発サイドも理解を示し1/2.3型より若干大きなイメージサークルで開発を行い、将来センサーが大型化をした際にも対応できる形で開発を行ったそうです。

ちなみにこのグラフは、実は若代さんが作ったモノで1/1.7の方が主流だと証明しようと作ったら、1/2.3の方が主流だったことが分かったそうです(笑

液晶モニター

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:液晶モニター

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ペンタックスさんでは一眼ならではの高画質を大型液晶で確認できるようにしたいと考えていたそうです。液晶が大きくなれば、当たり前ですが本体サイズも大きくなってしまいます。ですが、ボディは驚くほど小さくしたいというジレンマがありました。
この相反する課題を解決する為に実際に様々な液晶サイズでモックを作ったそうです。それぞれの液晶並べてパッと見たときの精細さも比較し、最終的にPENTAX Q は3.0型 3:2/HVGAに落ち着いたとの事です。尚、決定には数ヶ月掛かったとの事ですよ。
デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:モック

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これがその貴重なモックです。
左端の2.4型モックにはペンタックスさんの初代デジタル一眼である *istシリーズ風の4連ボタン付いてます。
右端の3.0型VGAモックにはファインダーらしきものが付いてますね~、
少しサイズが大きくなってしまいますが、これはこれでアリな気がします。


外装素材

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:外装素材

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外装素材の選択肢はマグネシウム、ステンレス、アルミ、プラの4種類だったそうです。
チタンという案もあったとか、無かったとか(笑 

カメラボディの形状によって素材が使えない場合があるので、まずはどのようなデザインにするかを決めたそうです。そして決定したデザインはステンレス、アルミでは難しいと判断。マグネシウムとプラに絞り込まれました。その後、プラだとかなり大きくなってしまう為、マグネシウムを採用する事が決定します。マグネシウムはコストが上がってしまいますが堅牢製なども考えて決定したとのことです。

まープラで強度出すにはかなり厚みが必要ですしね。それにマグネシウムはプレミアム感もありますから、もしPENTAX Qがプラ製だったら買う人かなり減るんじゃないかな~(言い過ぎ?

マグネシウム製ボディフレーム

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:マグネシウム製ボディフレーム

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で、これがマグネシウムのボディフレームです。堅くて軽くて最高です(笑

フラッシュ

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:フラッシュ

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PENTAX Qのフラッシュ機構のスケルトンモデルです。
若代さんは最初見せられ時、おもわず笑ってしまったそうですが、今ではかわいらしく見えてるそうですよ。子煩悩なのかもしれませんね(笑)でも、このフラッシュのインパクトはPENTAX Qの良い特徴になっている思いますね。

ちなみに、この後PENTAX Qをお借りしての撮影会があったんですが、そのモデルさん達もこのフラッシュには反応してましたからね(笑)
PENTAX Q beta model(F3.2 1/500 ISO125 47mm)

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オリジナルを表示 PENTAX Q beta model(F3.2 1/500 ISO125 47mm)

これが、その写真です。これはお借りしたPENTAX Qで撮影したモノです。
PENTAX Qの飛び出すフラッシュに驚く土岐真衣子さんさささんの図。
尚、ベータ機による撮影で画像はリサイズされています。

PENTAX Q スケルトンモデル

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:PENTAX Q スケルトンモデル

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そして、出ました!みなさんお待ちかね、PENTAX Q スケルトンモデルです。
もちろん残念ながら販売予定はありません。(手タレ:HAMACHI!さん
デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:PENTAX Q スケルトンモデル

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わざわざ、白ベースと、黒ベースまで用意されてました。
若代さん的にはスケルトン見せるのは恥ずかしいとの事(笑
なんか自分の裸でも見られる感覚なんでしょうかね?
デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:PENTAX Q スケルトンモデル

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こ、こいつ…動くぞ!(またそのネタか) このスケルトンちゃんと動きますよ~。
スケルトンてみんな欲しがるそうで人気みたいですね。
僕はこうやって見るのは楽しいんですが、自分では買わないかな(ぉ (手タレ:gomaさん

クイックダイヤル

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:クイックダイヤル

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PENTAX Qの特徴であるクイックダイヤル。このダイヤルを回すことでエフェクトの切り換えを行えます。もちろんライブビューでエフェクトの確認が可能です。

従来からペンタックスさんではカスタムイメージやデジタルフィルターなど写真加工機能を充実させてきています。ただ、どうしてもメニューの中に機能が隠れており、選択するのに一手間掛かります。
普通に写真を撮っていて、途中でエフェクトを掛けたくなった時に、すぐに変更したいですし、その後シャッターチャンスがあった場合は、すぐに元に戻したい。それを考え専用のハードウェアダイヤルを搭載したとの事です。

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:クイックダイヤル
このダイヤルをどうするかディスカッションした際に、若代さんがみんなに説明したところ、「ホントに必要なんですかね~?コレ?」みたいな感じで言われたらしいです(笑)。若代さんは「この手軽に切り換えられるダイヤルが必要」と説得。
さらに「邪魔じゃないですか?」には「ダイヤルのサイズや位置で解決する」と説得したらしいんですが、最後に「これ必要?コストが上がりますよ?」にカチンときたそうで、ついにキレて「この場で言えないような下品な言葉」を言い放ったとのこと(笑)

それ以降、「前ダイヤル」と仮称されていたものが「若代ダイヤル」になったらしいです。メールなどでの連絡の際には「前ダイヤル(通称:若代ダイヤル)」とか書かれたとか…おもしろすぎるんですけど(笑)
その後クイックダイヤルと命名され、無事(?)にPENTAX Qに搭載される事になりました。
若代さん…どれだけこのダイヤル好きなんだよ(笑)

交換レンズ

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:交換レンズ

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PENTAX Qの交換レンズに関しては、センサーが小さいことを生かして、小型軽量なレンズがラインナップされています。 ただ軽くて小さければ良いと言うことでは無く、解像性能に関しては一流というのを目指したそうです。その解像性能と小型軽量を両立するのが高性能レンズシリーズである01(標準単焦点)、02(標準ズーム)です。

さらにKシリーズを購入している人でもレンズを交換する事で写真がどう変わるか分からないという声があったそうです。とにかくレンズを交換したら写真が変わる。その変わるのが明確で、かつ買いやすいリーズナブルな価格のレンズを用意したいと考え、ユニークレンズシリーズとして、03(フィッシュアイ)、04(トイレンズ ワイド)、05(トイレンズ テレフォト)をラインナップしたそうです。

Qマウント交換レンズ

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:Qマウント交換レンズ

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これは、今回ラインナップされたQマウントレンズ群です。
以下はレンズの説明となります。(ペンタックスさんのサイトより抜粋)
01(標準単焦点)
スナップや風景撮影に便利な単焦点レンズ。開放F1.9の明るさで夕方など薄暗い場所でも撮影が可能です。薄さ22mmでポケットに入れて持ち歩けます。

02(標準ズーム)
ポートレートをはじめ、遠くの風景や近くの小物まで、さまざまな被写体に対応できる標準3倍ズーム。レンズ先端から約24cmまで寄れるのも魅力です。

03(フィッシュアイ)
画面中央部が大きく写り、周辺部が湾曲する特殊な表現が楽しめる魚眼レンズ。湾曲した風景やペットの顔のデフォルメ写真などが簡単に楽しめます。

04(トイレンズ ワイド)
トイカメラのような味わいのある写真が撮れる広角レンズ。軽快なスナップ撮影に適した遊べるレンズです。

05(トイレンズ テレフォト)
望遠ならではの写真が手軽に撮れるトイレンズ。フレアのまぶしさなど、予期せぬ表現が楽しめるレンズです。
一気にこの数のレンズをラインナップするのは凄く大変な事で、なかなか実現するのは困難だったそうなんですが、高性能レンズ2本はペンタックスさんの工場、ユニークレンズの3本は協力工場という体制で、なんとかレンズラインナップを増やしたそうです。

レンズを開発するのってやはり大変なんですね。
僕の使ってるEマウントなんて1年たっても、まだ3つしかレンズ出てませんからね…。
ボディは3つも出てるのに…(涙目 

そして完成した。ナノ一眼「PENTAX Q」

デジタル一眼の進化系。ナノ一眼「PENTAX Q」体験イベント:レンズ交換のイメージ?

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超小型ボディに一眼性能を秘めた新しい一眼「ナノ一眼」PENTAX Q。
Auto110デジタルから10年の歳月を掛け、ついに完成となりました。

ボディだけでなく、レンズも小さくすることでユーザーに気軽にレンズ交換を楽しんで貰いたいというペンタックスさんの思いが、この小さなPENTAX Qに詰まっているようですね。
もちろんそれ以外のコダワリもたくさん詰め込まれたカメラになっています。

以上、PENTAX Qの開発秘話でした。
そして、この後「PENTAX Q」の体験コーナーとなりました。

でも今回はここまで(ぉ
またもや「PENTAX Q」の写真はほとんどありませんでしたね(汗
次回はたっぷりアップする予定ですよ~。
→その3(PENTAX Q 外観レビュー)に続きます
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このレビューはWillVii株式会社が運営する レビューサイト「みんぽす」から招待されたイベントに参加して書かれています。 本イベントへの参加及びレビュー掲載は無報酬です。また、WillViiは掲載内容に一切関与していません(本情報開示と事実誤認時の修正を除く)。本イベントに参加された他の方のレビューはこちらのみんぽすTBセンターでご覧になれます。(WillVii株式会社みんぽす運営事務局)

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COMMENT

ご無沙汰してます。


いつもガンダム関係の記事にしかコメントしませんで申し訳ありません。でも今回は、その、あまりにもミニマムサイズなカメラに驚き、コメントさせていただく次第です。


いや~、ホントちっちゃいですね~。


正直カメラとか全然詳しくなくって(一眼とコンパクトデジカメの特徴の違いさえよくわかってないレベル)、一眼をこんなに小さくする意味とかよくわかってない自分ですが、開発はさぞかし大変なんだろうなぁ~とは思います。こういう「挑戦」の精神がある企業さん担当者さんは素敵ですよね。


フラッシュには思わず笑わせていただきました。はしご車か、あるいはモビルスーツに乗り込むときのタラップ?にしか見えません(強引にガンダムに結び付けてすいません)。


やっぱり一番の実用面での問題は「液晶サイズ」ですよね~。


自分文系なもので技術的なことはまったくわからないのですが、例えば、折りたたみ式液晶とかできないのかしら?
普段はたたんであって、液晶画面が必要なときのみパタパタッと、ヨコかタテ、あるいはヨコ&タテに2回開いて大きな画面で見れる、とか出来ないのかなぁ~・・・と、メカ音痴な自分は思いましたです。
技術屋さんに言ったら一笑に付されそうですが。

jonipon2011年7月21日 04:13

>>joniponさん

どもです!


いえいえ、コメントいただけるだけ嬉しいですよ。
もっとガンプラなどのガンダム系の記事を書きたいんですが、なんとも…(汗


このPENTAX Qは本当に小さいですよ!
一眼とコンデジの違いは簡単に言うと「レンズ交換ができる」に尽きる気がしてますね。
コンデジでも画質良いもの(ちょっと特殊ですが僕の持ってるDP2xとか)はありますからね。
でも、レンズ交換の楽しみを知ってしまうと、
レンズ沼にどっぷり浸かるハメになりますので注意が必要です(笑


そうそう、このフラッシュの機構に惹かれますよね~。
って無理矢理ガンダムですねw


折りたたみ液晶は電子ペーパーが実現してくれそうですね。
すでにプロトタイプでいくつか存在するようです。
商品化されるのは何時になるのかわかりませんが(汗

UTAN19852011年7月23日 00:08