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ソニー ブルーレイディスクレコーダー体験イベントレポート

ソニー 3D対応ブルーレイディスクレコーダー体験イベント その3(開発秘話:同時動作、業界最薄サイズの実現、Chan-Toru)

ソニーさんの最新3D対応ブルーレイディスクレコーダーの体験イベントに参加してきました。
体験してきたブルーレイディスクレコーダーは10月22日発売予定のBDZ-AT500でした。
前回までは、
1)商品企画担当の成田さんより「商品コンセプト誕生秘話」のお話
2)開発のシステムアーキテクト伊久さんより「開発秘話:起動時間短縮への挑戦」のお話
をお聞きしましたが、今回は、ブルーレイディスクレコーダーの同時動作実現、Chan-Toru、ハードウェアの開発秘話になります。

このレビューは「みんぽす」の無償イベントに参加して書かれています。(詳細は末尾で)
山内さん:ソニー ブルーレイディスクレコーダー

デジタル録画機の録画ソフトウェアリーダー山内さん

ソニーさんの今までのレコーダーでは同時動作の問題点があり、録画1での録画中にはBD-ROM再生ができないとか、チャンネル切り替えができないとか、同時動作にイロイロ制約があったそうです。 それを今回の新BDレコーダーでは解消してるのですが、やはり一筋縄ではいかなかったようですよ。
そこら辺のお話を録画ソフトウェア担当の山内さんよりお話いただきました。

それでは、レポート開始です。

ずっと叩かれ続けていた同時動作の問題

ずっと叩かれ続けていた同時動作の問題:ソニー ブルーレイディスクレコーダー

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ソニーさんのBDレコーダーには「録画1」と「録画2」という概念があり、上記の図のように、「録画1」「録画2」の出来る出来ないの複雑な組み合わせになっていました。
なんと、○×の組み合わせは一万数千通り以上あるそうです!!スゴ過ぎる^^;
ソニーさん内部の方でも、今回のモデルはこの組み合わせは可能だが、その前のモデルは違うなど、複雑で大変だったそうです。 そして、ソニーさんは、これでずーっと叩かれ続けていたそうです。
そー言えば、家電系の情報誌やサイトでそんな記事を見かけた気もします^^;

録画ストレスを解消したい!

録画ストレスを解消したい!:ソニー ブルーレイディスクレコーダー

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ユーザーが想像するW録は「録画1」、「録画2」といった区別は無いんですが、実際には、先程の図にあったように「録画1」、「録画2」中にいろいろと使用の制限があります。ちなみに、開発者ですら、録画1・2中に何ができて何ができないのか全部言えない(人が多い)そうです。
僕は今回のイベントまでソニーさんのBDレコーダーを触った事がありませんでしたし、我が家のREGZA Z9000はトリプルチューナーのW録ですが、こういった録画の区別はありません(でもTSでしか録画できません^^;)。ですんで、「録画1」、「録画2」という区別があるのには驚きでした。

ソニーさんは録画1・2が無くなればレコーダーとしての基本性能を飛躍的に向上するのではないか?と考え、今回のレコーダーでは録画1・2を無くす事を目差したそうです。

同時動作の壁は厚かった!

同時動作の壁は厚かった!:ソニー ブルーレイディスクレコーダー

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「録画1」、「録画2」の区別を無くすには壁が厚かったそうです。
エンコーダーを二つ積めば「録画1」、「録画2」の区別も無くなり、BDの再生中にも録画などの同時動作が可能になるなど、問題は解決するんですが、もちろんコストが掛かります。レコーダー市場の価格競争も激しいので、必要性に疑問の声が上がったそうです。
昔は30万したものが、いまでは5万程度で買えるようになっているそうです^^;
液晶TV等も同じで昔と比べると驚くほど価格が下がってますからね~。

商品企画の成田さんはユーザーに「同時動作の機能の為にどのくらいなら払えますか?」とユーザーに調査したそうなんですが、カタログや店頭では分かりにくいらしく「よく分からないから2番組同時録画さえできれば良いよ!」と言う意見が多かったそうです。 特にまだVHS使用している、初めてレコーダーを使うユーザー層には同時動作と言ってもピンとこないそうです。
その為「わざわざ同時動作にお金は掛けないで良い!」と言う事になってしまったそうなんですが、「イヤイヤ作るからには同時動作制約を無くしましょうよ!」と言う意見もあり、またもやバトルがあったそうです^^;

ついに同時動作を実現!!

ついに同時動作を実現!!:ソニー ブルーレイディスクレコーダー

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結局、バトルの結果、同時動作の機能は付かない事になったそうです。
でも、開発陣は密かに開発を続行!
基盤を設計する際にもエンコーダーが2つ乗るような設計に密かにしていたそうですよ!
いいですね~僕はこういうノリ大好きです!!(でも経営側としては困るかも^^;)

「ユーザーが使いやすくなる!」、「BD使用中になんでもできるようになる!」など説得を続けて、最後には実現することになったそうです。良かったですね~!!そしてこれは僕たちユーザーにも嬉しい事ですね^^

ちなみに商品企画としては、同時動作が「できるモデル」と「できないモデル」を用意して欲しかったそうですが、2つ作るにはその分エンジニアの人数が必要なると、でここでもバトル勃発(またか^^;)
最終的には、「同時動作を完璧にしよう!」と言うことになり、みんなで一丸となってW録全モデルに同時動作搭載を実現したそうです。


Chan-Toru(チャントル)開発秘話

長坂さん:ソニー ブルーレイディスクレコーダー

Chan-Toru開発担当 長坂さん

次は、長坂さんからスマートフォンからレコーダーの録画予約ができるChan-Toru(チャントル)のお話いただきました。
通常レコーダーはリモコンを使って録画するのが当たり前ですが、リモート予約と言う機能が現在のレコーダーには付いており、PCや携帯電話から予約ができるようになっています。
僕のREGZAにも「テレビサーフモバイル」という携帯電話からの録画予約機能がありますね。まっあまり便利じゃないですが^^;
Chan-ToruはWebサービス(Webアプリ)で、スマートフォンやPCを使って、外出先からでも好きなときに番組の録画予約をしたり、 いつでも録り貯めた番組コンテンツの整理が出来ます。

Chan-Toru(チャントル)を使用する事による作業のタイムシフト

Chan-Toru(チャントル)を使用する事による作業のタイムシフト:ソニー ブルーレイディスクレコーダー

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まず、長坂さんは「レコーダーの幸せとはどんな状態か?」と考えたそうです。
見ているモノがビデオなら、録画した番組が入っていなければレコーダーを起動する理由も無いし高画質である理由もありません。今日は見たい番組を録画してる時は嬉しいし、見るモノが無いとき、レコーダーはただの箱でしかない。 そこで、たくさん録画してもうお手伝いをするサービスにしたいと考えたそうです。
そしてネーミングも“ちゃんと録るから”=「Chan-Toru(チャントル)」となりリリースされたそうです。、
Chan-Toru(チャントル)を使うと録画予約やレコーダーに録画した番組の削除などのコンテンツ管理を、外出先から好きな時間にレコーダーを使えるようになるので、作業のタイムシフトができるようになったと感じているそうです。

ここで実際にデモがあり、レコーダー内の録画データをチャントルから消したんですが、ほとんどタイムラグが無いくらいの早さで消えてました。すごいレスポンス!!
ただChan-Toruはインターネット経由なんで、レスポンスは回線状況に左右されるとのことです。

Chan-Toru(チャントル)の特徴

Chan-Toru(チャントル)の特徴:ソニー ブルーレイディスクレコーダー

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Chan-Toru(チャントル)は「そろそろスマートフォンを使っていかなきゃいけないよね!」「機器連携、ネットワークの家電化をやりたい!」と若手エンジニア達のボトムアップ(下からの意見を上へ採用する事)で始まったそうです。 そして、ソニーさんとしては珍しくベータ版としてリリースしれました。
ただし、ベータ版といえどソニーさんやビジョンアーツさんがリリースするとなると簡単にリリースする事はできなかったそうです
そんな時には体験空間の担当者が「僕らもエンジニアのチャレンジをやっている」と賛同してくれたそうで、共同でリリースする事になり、現在は体験空間に置かれているそうです。
体験空間での厳しい評価や、良い評価などユーザーの意見をキチンと汲み取り、開発側では「今後はこう変えていこう、こうやっていこう!」と考えながら開発を行っているそうです。

長坂さん達開発陣も商品を売るとかではなく、ユーザー目線で「こういう使い勝手があるよね!」「外に行ったときに遊べるとイイよね!」、「スマートフォンと連携する家電があったても良いよね!」と言った所から始まってるので、徹底的にユーザー目線で成長させて行きたいと思っているそうです。
これは僕たちユーザーにとったら嬉しい話ですね^^
Chan-Toru(チャントル):ソニー ブルーレイディスクレコーダー

Chan-Toru Ver2.0

長坂さん達は、家電とネットの連携はメディアとかでは話題になったりしているが、まだまだ実際は始まったばかりと考えているそうです。商品を売るといったレベルと言うよりはトライアルで始まっている形であり、小さく生み出して、大きく育てて行きたいと考えているそうです。
先日発表された東芝の「レグザ Apps コネクト」もそんな感じですよね。サービスは全て無料で、トライアル的な感じです。まっ僕のREGZA Z9000では使用できませんがね^^;

みなさんにBLOGに書いてただいて、それが他の誰かに伝わって…そんな形で広がって行くというのはスゴクありがたい事で、こういう所はネットのスゴク良いところであり、そういった力をいただきながら成長して行きたい」と長坂さんはおっしゃってました。そんな事を言われるとBLOGを書いてる身としてはスゴク嬉しい限りですね!

実はこの体験イベント後、モニターとしてBDZ-AX2000をお借りしていますので、後ほど使用感などをレビューする予定なんですが、長坂さんの顔を思い出して「悪いから、これは書かないほうがいいかな?」とか思わないで、素直にホントの気持ちで書いて欲しいそうです。それを長坂さん達が読んで、「どういう方向に進めるべきか?「どう言ったものをやって行かなければならないか?を考えていくそうです。
長坂さんのおっしゃている通り本当のユーザーの意見を聞けないと、良いサービスは完成しませんもんね。ですんで、歯に衣着せずレビューしちゃいますよ!

また、商品企画の成田さんからもお話がありました。
ハードウェア(レコーダー)に内蔵する機能の場合、様々な意見が出て簡単には機能を実装できないそうです。ですが、Chan-Toruのように外部に存在する機能(アプリやサービス)であれば、スゴイ審議をしなくて良いので、実現しやすいそうです。
また、商品の発売とは関係無くバージョンアップもできるので、商品企画としてもこういった機能を一生懸命やっていき、みなさんの意見を吸い取りながら新しい事にチャレンジしたいと考えているそうですよ。

尚、Chan-Toru(チャントル)の機能など詳しくはソニーさんのサイトにて
→Chan-Toru ver2.0 beta | ソニーのヒト・コト | ソニー


ハードウェア開発秘話

辰巳さん:ソニー ブルーレイディスクレコーダー

ハードウェアシステム担当開発担当 辰巳さん

新BDレコーダーで、今までお話のあった機能を実現するにはソフトウェアだけではなく、ハードウェアとしてもスゴク苦労があったそうです。そのハードウェアのお話をブルーレイディスクレコーダーのハードウェアシステム担当の辰巳さんからお話いただきました。

尚、説明はレコーダーの基盤を見せていらだきながらお話いただいたんですが、残念ながら発売前の機種の為、基盤は撮影禁止でした^^;
今回のBDレコーダーはこれまで説明のあった機能を入れた上で、他のメーカーよりも薄い業界最薄のシングルチューナー49.5mm、ダブルチューナー56mmを実現したそうです。
ちなみに、開発当初はシングルチューナーで56mmを目標にしていたそうなんですが、何故かメカ担当が頑張って6.5mm減らして49.5mmになったとのこと(笑)
業界最薄:ソニー ブルーレイディスクレコーダー

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最初は、薄くするか?、奥行きを狭めるか?の議論があったそうなんですが、機能の異なる様々なモデルでシャーシ(下の箱)は一緒にしたいとの希望があり、奥行きを狭めると機能の多い上のモデルは高さがスゴく厚くなってしまうので、奥行きは多少短くし、最薄を目指したそうです。
奥行きも短く:ソニー ブルーレイディスクレコーダー

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まず、最薄を目指す為に従来までのモデルではセンターだったBDドライブを左(前面から見て)にずらし、ドライブの下には基盤も無くし、まったくモノが無い状態になっています。
また、BDドライブ自体も薄くしたかったそうなんですが、今回は、BDXLという多層ディスクに対応したBDドライブのため薄くするのは難しかったそうです^^;

見せて貰ったレコーダーの内部では、やはりBDドライブ部分が一番厚かったです。もし多層ディスク対応の薄いBDドライブが開発されれば、BDレコーダー全体も薄くできるとのこと。ハードディスクに関しては2.5インチやSSDなどを使えば薄くすることは可能とのことです。

BDドライブをセンターから左へ:ソニー ブルーレイディスクレコーダー

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尚、BDドライブをセンターから左(前面から見て)にズラすのは、かなり反対が多かったそうです。
電源が必ず左に付くようになっている為、BDドライブを左にズラすと電源がイジェクトに見えてしまうと反対されたそうです。しかも過去のモデルを調べて右はあっても左が無かったそうで、かなり反対されたが、ガンバって説得したそうですよ^^;
たしかに反対された理由もわかるかも気もします。僕が唯一リモコンから操作しないボタンがイジェクトボタンです。ディスクを出し入れするときはレコーダーの所に行くので、リモコンは使わず直接レコーダのボタンを押します。ですんで、新レコーダーのボタン配置はちょっと気になりました。だた、「薄さ」と「イジェクトボタンの位置」どっちを取るか?と言われれば、即答で「薄さ」を選びますけどね(笑)
ボタン位置に関してはたぶん使ってるうちに慣れちゃうと思うんですが、薄さは自分ではどうする事もできませんからね。

撮影禁止だったため、写真はありませんが、ケーブルも旧モデルと比べてかなりすっきり整理されてました。ですが、辰巳さんとしては、まだまだケーブルを減らしたいとのこと。電源も消費電力を見積もり、それにぴったり合うような、ギリギリのサイズで作っています。
さらに、CPUは基盤の上では無く下に配置し熱はシャーシを利用して放熱しているそうです。これによりヒートシンクを無くすことでできたので、その分スペースを利用できたそうですよ。
ヒートシンクは場所とりますからね~。これは、なるほど~そんな方法があったか!?って感じですね。これってPCでも可能なのかな?でも、自作PCだと巨大なヒートシンクだったり、発光するヒートシンクだったりを好んで付ける人もいますけどね(笑)
冷却ファンもカスタムし、サイズは小さくする代わりに奥行きをとっています。本当はファンレスにしたいそうですよ。さらに、待機状態の消費電力が0.2wですので、熱ももたないとのことです。
リモコンも小さく:ソニー ブルーレイディスクレコーダー

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ちなみに、部品点数が増えると、工場で組み上げる時間が増えるため、その分生産性が落ちてしまします。ですので、ハードウェアの設計は部品点数で毎回攻められて大変な思いをしているそうです^^;
いや~ハードウェアの設計は大変そうですね~(汗)
あっ!あとリモコンも旧機種より新機種の方が小さくなってましたよ。

まとめ

新BDレコーダーと旧モデルの機能比較:ソニー ブルーレイディスクレコーダー

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最後に、今回の新BDレコーダーと旧モデルの機能比較を見せていただきました。
新機能が赤で、全く新しい機能です。3Dや3層、4層のBDXLには一番下のモデルから対応したそうです。 また、青はおまかせまる録やフォトストーりーなどユーザーの意見を採り入れ改善した機能です。 かなり新機能(赤)が増えてますね~!!

エンコーダーが2つ載るように密かに基盤を設計しちゃったり、BDレコーダーの厚さを目標より頑張って勝手に薄くしちゃったりとエンジニアの暴走(良い意味で)がなければ、今回のBDレコーダーは誕生しなかったかもですね^^

しかし新BDレコーダーは、かなり期待できそうですよね!高速起動や同時動作の実現、Chan-Toru、業界最薄サイズ等々、かなり良いBDレコーダーに仕上がっている感じがしますよね。
BDZ-AX2000をお借りしているので、実際にそれを体感してみますよ~!

以上で、体験イベントのレポート終了です。
今回は貴重な機会を与えていただいた、成田さん、伊久さん、山内さん、長坂さん、辰巳さん、佐藤さんを初めとするソニーの皆様、みんぽすさんに感謝です!!
さらに一緒に参加されたモノフェローズのみなさんもありがとうございました!

次回からはお借りしたBDZ-AX2000の実機レビューとなります。
→「BDZ-AX2000」レビュー その1(開梱、外観、配線)へ続きます。

「Chan-Toru(チャントル)」レビューはこちら
「Chan-Toru(チャントル)」レビュー その1(設定&BDZ-AX2000登録)
12567-2727-183663


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