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SIGMAレンズ 体験イベントレポート

SIGMA(シグマ)一眼レフ用交換レンズ 体験イベント その4(光と色を捨てず加えないFoveon X3 & SD1の紹介)

SIGMA(シグマ)さんの一眼レフ用交換レンズ 体験イベントに参加してきました。 今回は新機種SD1やフォビオンセンサーについてご説明いただきました。最後には SD1(試作機)で撮影した写真もみせていただきましたよ。
このレビューはWillVii株式会社が運営する国内最大級家電・ゲームレビューサイト「 みんぽす」のモノフェローズイベントに参加して書かれています。本レビュー掲載によるブロガーへの報酬の支払いは一切ありません。レビューの内容につきましてはみんぽすやメーカーからの関与なく完全に中立な立場で書いています。(唯一事実誤認があった場合のみ修正を行います)「モノフェローズ」に関する詳細はこちら。(WillViii株式会社みんぽす運営事務局) みんぽす
前回までは、シグマ山木社長より
→その1 世界最高の光学メーカーを目指したモノ作り
→その2 こだわりの広角ズームレンズ、人気レンズの紹介
とお話しいただき、その後、モデル撮影会を行いました。
→その3 モデル撮影会 紗々さん&馬琴さん
そしてモデル撮影会終了後、発売予定の新機種SD1のお話しがありました。

お話しはSD1の細かいスペック等ではなく、SIGMAさんのデジタルカメラに使用されているイメージセンサー「Foveon X3」が、どのような背景で生まれ、どのような特長をもつセンサーなのか?そして、SD1に搭載される予定の新フォビオンセンサーはどのように進化しているのかをご説明いただきました。

Foveon
Foveon X3センサーはアメリカのFoveon社によって開発された、デジタルカメラ用のイメージセンサーです。Foveon社とSIGMAさんがフォトキナのブースで出会い、2000年からパートナーシップを続け今年で10周年になるそうです。
ちなみに2008年にFoveon社はSIGMAさんの100%子会社になっています。

Foveon社誕生からイメージセンサー「Foveon X3」誕生まで


創業者カーバー・ミード(Carver MEAD)

カーバー・ミード(Carver MEAD)
Foveon社は1997年にアメリカシリコンバレーで創立されました。 創業者はカーバー・ミード(Carver MEAD)氏。カリフォルニア工科大学の名誉教授でもあります。
カリフォルニア工科大学はマサチューセッツ工科大学(MIT)と並び称される超名門で、物理学者のファインマンがいた学校。
カーバー・ミード氏は大学で人間の神経系シュミレーションなどの研究をしていたそうです。

ちなみにこのカーバー・ミード氏が立ち上げた会社で一番有名なのはノートパソコンのタッチパッドを作っているSynaptics(シナプティクス)です。一時はノートパソコンの7割、初期のiPodにも採用されていたそうですよ。

Foveon社の名前の由来

Foveon社の名前の由来
人間の網膜の中に網膜中心窩(もうまくちゅうしんか)という場所があり、この部分は一番感度が高く、解像度がもっとも高く見える場所です。その網膜中心窩=FoveaCentralisにちなんでFoveonと決めたそうです。
じつは当初はFoveonicsと言う名前にしようとした所、当時の役員でカメラ好きの方が「いやいやFoveonicsは良くないよ。NikonもCanonもonで終わるじゃないか」と言い、そこで「on」で終わらせる事にしてFoveonになったそうです(笑)

Foveon社が一番最初に作ったカメラ

Foveon社が一番最初に作ったカメラ
Foveon社のセンサーと言えば、三層構造のセンサーで。一つのピクセルでRGBすべてを読み出せる事が特徴です。(ここら辺は後ほど説明があります)でも、実は当初それを目的として作られた会社ではなかったそうです。写真はFoveon社が一番最初に作ったカメラです。ノートパソコンにキヤノンのEFレンズらしきモノが付いていますが、三つのCCDで3CCD化し、プリズムで光りをRGBに分け、それぞれのCCDで個別に受光する事で最高解像度を目指したカメラだったそうです。結局は販売価格が400万円という非常に高価なカメラになってしまい販売が伸びずビジネス的に失敗してしまったそうです。

そんなFoveon社を救ったのが2人のディックでした。

ディック・メリル(Dick MERRILL)

ディック・メリル(Dick MERRILL)
ディック・メリル氏は元々、National Semiconductor社のチーフサイエンティストでカーバーミード氏がFoveon社に呼びました。 ディック・メリル氏は自分の趣味で出していた特許が今の技術のベースになっているそうです。
その技術はシリコンの光吸収特性を利用した技術でした。 シリコンは表面に近い方から、波長の短いモノを吸収して、中心に近付くにつれて波長の長いモノを吸収する特性があります。 人間の皮膚も同じで、紫外線を浴びると日焼けしますが、赤外線を浴びると身体の中がジンワリと暖かくなります。 波長によって表面で吸収したり、内部で吸収する。そのシリコンの光吸収特性を生かして、まるでフィルムのように一つのピクセルでRGBを縦方向に吸収できる特許を出していました。 ただこの時点では実現は出来ておらずお蔵入りになるはずだったそうなんですが、もう一人のディック…ディック・ライアン氏がこの技術に目を付けました。

ディック・ライアン(Dick LYON)

ディック・ライアン(Dick LYON)
ディック・ライアン氏は画像処理の技術者です。ゼロックスの研究所にてマウスやGUIなどの研究もしていました。この方もカーバー・ミード氏がFoveon社に呼んできたそうです。
そのライアン氏がメリル氏の特許を見て、これは行けるんじゃないか?と考え、会社を説得したそうです。 さらに実現は不可能と考えていたメリル氏も説得し、作り上げたのが今のフォビオンセンサーです。

尚、メリル氏は残念ながら2008年に亡くなっており、ライアン氏は現在Foveonにはいないそうです。

Foveon X3と一般的なイメージセンサー(ベイヤー方式)の違い

この2人のディックによって実現した「Foveon X3」センサーですが、
一般的なイメージセンサーとはどのような違いがあるのでしょうか?
「Foveon X3」センサー

一般的なイメージセンサー(ベイヤー方式)

一般的なイメージセンサーはベイヤー方式を採用しています。 ベイヤー方式はセンサー自体はモノクロで、光の強さ(光量)しか判断できません。 そこにRGBのカラーフィルターを使用して光りに色を載せています。各ピクセルはRGBいずれかの1つが割り当てられています。普通に考えるとグリーン(G)のフィルターで受光した場合はレッド(R)、とブルー(B)の色情報がありませんので、フルカラー(RGB)にはなりません。ですが、まわりのセンサーからレッド(R)、ブルー(B)の情報を取得して演算し色補完を行うことでフルカラー(RGB)を実現しています。
この方式では偽色(存在しない色)が出る場合もあり、モアレも発生し易いためローパスフィルターを使用し不要な信号を遮断してこれらを抑えています。 しかしローパスフィルターを通すと、画像がぼやけ画質が落ちると言われています。

「Foveon X3」センサー

フォビオンのFoveon X3センサーはシリコンを3層に重ね、シリコンを通る光の深度で色を識別します。波長の短いブルー(B)から、レッド(R)、グリーン(G)と順に受光し、1つのピクセルでRGB全てを受光することが可能です。これによりカラーフィルターを使わず、ローパスフィルターも必用ありませんので、ピクセル単位のシャープネスが非常に高いそうです。

光りと色を捨てず、加えない「Foveon X3」センサー

「Foveon X3」センサー
更に、先程の説明のとおり、ベイヤー方式は各ピクセルにRGBいずれかの1つが割り当てられていますが、この割合がグリーン(G):50%、ブルー(B):25%、レッド(R):25%に振り分けられて並んでいます。例えば、1200万画素のセンサーだと、グリーン(G)が600万画素で、ブルー(B)、レッド(R)がそれぞれ300万画素づつとなります。つまり、全ての色情報を取り込む事ができていません。(ちなみに、グリーン(G)だけ倍なのは人間の目がグリーンに対して一番感度が高いからだそうです)
これに対し、Foveon X3センサーはシリコン3層構造により、全てのグリーン(G)、ブルー(B)、レッド(R)で取り込む事が可能になっています。ベイヤー方式とは異なり、足りない色を作り出すのでは無く、フルRGBで色を取り込みますので、より自然に近い色を再現できます。


し、しらなかった…普通のイメージセンサー(ベイヤー方式)ってこう言う仕組みだったのか。
全ての色情報を取り込んでいるのでは無く演算で色を作ってたとは!
僕は一般のセンサー(ベイヤー方式)も全ての色情報を取り込んでいるのかと思っていましたが、それを実現しているのは「Foveon X3」センサーだけだったんですね。DPシリーズ等のあの独特の繊細な感じは根本的なセンサーの違いが生み出していたんですね。

SD1に搭載される「Foveon X3」では実解像度を改善

SD1に搭載される「Foveon X3」
Foveon X3は良いことばかりな感じですが、現時点では実質的な解像度が低いという問題点があります。

SD15で使用されているフォビオンセンサーは水平方向は460万画素。それが縦方向にRGBが3つならんでいて有効画素数1400万画素となっています。
ただし、1400万画素はSIGMAさんの考える「色を捕らえる単位」での場合の有効画素数で、実質的な解像度は460万画素となります。これを克服すべく開発しているのが、今年発売予定のSD1に使用される新しいFoveon X3センサーです。

Foveon社は2008年にSIMGAの子会社になる前は携帯電話用のセンサーを作っており、これにより、ピクセルを小さくする技術を蓄えていたそうです。その極小ピクセルの技術を生かし新しいFoveon X3センサーは1530万画素x3で有効画素数4600万画素というスペックになっています。もちろん色解像度が高く、ピクセル単位でのシャープネスが高いという特徴はそのままです。実質的な解像度も1530万画素となるので、各社のAPS-Cクラスの上位機種と比べても遜色のない解像度になっています。(7D:1800万画素、D7000:1620万画素、K-5:1628万画素)

他社に無いもの撮れるカメラ「SD1」

SIGMA SD1
SIGMAさんが2000年にデジカメを作るときに、まず考えたのが他メーカーとの差別化でした。キヤノンやニコンと同じ技術を使っても絶対勝てないと考え、違う技術にこだわったそうです。それが三層構造イメージセンサーである「Foveon X3」でした。 SD1も含めて、万能では無いが他社に無いもの撮れるカメラと自負しているそうです。

尚、SD1の名前の由来は、SIGMAさんとしてのフラッグシップの意味もあり、フォビオン社を子会社化したことにより関係性をもう一度リセットしてやり直すという意味もあってSD1としたそうです。

とても素晴らしいSD1ですが、やはり気になるの価格です。山木社長としてはAPS-Cとしては常識はずれでは無い価格を目標に考えているそうですが、センサーを自社開発しているので、なかなか大変な模様です。

SD1(試作機)で撮った写真をみせていただきました。


SD1の実機は残念ながら登場しなかったのですが、
試作機で撮った写真をみせていただきました。

NEX-5で撮影してます。もちろんNEX-5はベイヤーセンサーなんで、Foveon→ベイヤー変換(?)されてるので微妙かもしれませんが、雰囲気は伝わるかと(汗)

SIGMA SD1(試作機)で撮った写真

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みなさん、おっしゃってましたがスゴク立体的に見えます。裸眼3D状態です(笑)


アクセサリー

SIGMA SD1(試作機)で撮った写真

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アクセサリーもスゲーリアルでした。


女性の横顔

SIGMA SD1(試作機)で撮った写真

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これ凄かったですね。かなり生々しかったです。


女性の横顔:アップ

SIGMA SD1(試作機)で撮った写真

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もう、うぶ毛から毛穴までバッチリ、クッキリ見えます(笑)
SD1凄そうです…こんなの見せられるとSD1がめちゃくちゃ欲しくなります。

そう言えばモノフェローズの方からSD1と同じセンサーでDPシリーズを作らないのかという質問に、山木社長は「いまは計画が無いけどやりたい。」とおっしゃっていました。
山木社長自信もDPシリーズを愛用しており、コンパクトボディの高画質というジャンルを切り開いたと自負しているそうです、それもあって是非やりたいと思っているそうです。

今回のお話しでかなりFoveonセンサーにやられてしまいました(笑)
ちょっと本気でDPシリーズが欲しいです。やっぱり買うならF2.8のDP2sかな…。

以上で、体験イベントレポートは終了です。
今回は貴重な機会を与えていただいた、山木社長を初めとするSIGMAの皆様、斎藤先生、紗々さん、馬琴さん、そしてみんぽすさんに感謝です!
さらに一緒に参加されたモノフェローズのみなさんもありがとうございました!
特に5D Mark IIをお貸し頂いたしょういちさんには感謝です^^

実はこのイベント後にSIGMAさんの超広角レンズ「SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM」をお借りしましたので、次回からNEX-5に使用してレビュー予定です。
それでは次回に続きます。

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